2018年度よりジェトロの海外コーディネーター(現:中小企業海外展開現地支援プラットフォーム・ニューヨーク・プラットフォーム)として、米国市場進出を支援してまいりましたが、このようなご相談をいただくことが良くあります。
「アメリカで販売したいが、そもそも何から始めればよいのかわからない」、
「アメリカの展示会に出展したけれど、その後の継続的なオーダーにつながらない」、
「日本ではディストリビューター経由で販売しているので、アメリカでもディストリビューターを探したい」。
私たちは、JETRO New Yorkの米国マーケットエントリー支援プログラムのお手伝いもさせていただいておりますが、何より大切にしていることは、日本企業が米国進出に挑戦する時に、一時的な支援を受けることではなく、そこから一緒に米国市場のしくみを理解し、継続的に売上を作り、最後は自走するための力を身につけていただくことです。
展示会から始める米国市場への進出
米国市場への進出を考える時に、展示会に出ることは有効な手段の一つです。そこではバイヤーと直接会い、自社の商品を知ってもらうことができます。但し、展示会で名刺交換をするだけでは何も始まりません。その出会いをその後の営業活動、商談や受注につなげ、継続的な取引へと発展させるための一歩です。

そして、一つの取引から複数のバイヤー、様々な販売チャネル、さらには異なる地域や業界へと営業活動を広げていくことで、小さな成功の積み重ねが大きな成長へと繋がっていきます。そのために、一つ一つ何をしていけばいいのか順序立てて設計して実行に移していけるように、JETRO New Yorkの米国マーケットエントリー支援プログラムを通じて、Artisでは皆様のサポートをさせていただいています。
「アメリカのディストリビューターを探す」ことが必ずしも正解ではない
日本国内では、ディストリビューターや代理店を通じた販売が一般的な業界も多いためか、「アメリカのディストリビューターやブローカーを紹介してほしい」という相談もいただきますが、必ずしもそれが最適な方法とは限りません。
特にライフスタイル商品の分野では、ディストリビューターはすでに認知度があって、一定の販売数量が見込めるナショナルブランドなどを好む傾向があります。もちろん、日本発のユニークな商品を扱うディストリビューターも存在しますが、アメリカで認知度の低い商品を、ディストリビューター経由で大きな販売数量につなげていくことは容易ではありません。
むしろ、最初の段階ではメーカー自身がバイヤーを開拓し、直接取引を積み重ねるという方法もあります。この方法だと、売上をつくるだけではなく、「アメリカのバイヤーは何を求めているのか」「どの価格帯なら売れるのか」「どのような商品説明が必要なのか」といった市場開拓のノウハウを自社に蓄積できるという大きなメリットがあります。そして、その経験は、将来的にディストリビューターや代理店と組む際にも、貴重な財産になります。

日本にいながら米国のバイヤーを開拓することもできる
JETRO New Yorkとともに私たちが積極的に紹介している選択肢の一つが、B2BマーケットプレイスのFaireです。Faireは2017年にサンフランシスコで創業し、現在では大規模なB2Bマーケットプレイスへと成長しています。バイヤーにとっては商品を探して発注するためのサイトであり、ブランドにとっては商品の販売・受注を行うためのプラットフォームです。Faireを活用することで、バイヤーとのコミュニケーション、受注、代金回収、発送に関する連絡など、取引に必要なさまざまな業務をオンライン上で進めることができます。つまり、日本にいながら、日本から商品を発送し、アメリカの小売店と直接取引を始めることが可能になります。また、Faireの大きな特徴の一つが、AIを活用してブランドとバイヤーのマッチングを支援していることです。

2017年からArtisが続けているFaireとの取り組み
私たちは2017年からFaireを活用し、日本の商品をアメリカ市場で販売してきました。これまで約20年にわたり、日本企業の米国市場進出に携わる中で、さまざまなB2Bプラットフォームが登場しては淘汰されていくのを見てきました。その中でもFaireは、ブランドとバイヤーの双方を着実に増やし続け、現在では小売業界において非常に大きな存在感を持つプラットフォームとなっています。
Faireが登場した当初は、「B2Bプラットフォームが展示会を凌駕するのではないか」と言われることもありました。私たちの実感としては、むしろ大きく変化したのは、展示会そのものよりも、小売店とブランドをつなぐ営業の仕組みだったと感じています。特に、これまで小規模なレップやブローカーが担ってきた役割の一部を、デジタルプラットフォームが担えるようになったことは、日本企業にとっても大きなメリットです。そして現在では、従来の小売店だけでなく、ホスピタリティ業界など新たな業種のバイヤーも参加し、アメリカ国内だけでなくヨーロッパなど海外からのオーダーにつながるケースも出ています。日本企業がアクセスできる市場は、確実に広がっています。
JETRO New Yorkの米国マーケットエントリー支援プログラムは、実践的なノウハウを提供
JETRO New Yorkの米国マーケットエントリー支援プログラムや、新潟県のマーケットエントリー事業など、私たちの取り組みに共通しているのは、日本企業の「自立」を支援することです。私たちが企業に代わって売り続けるのではなく、企業自身が市場を理解し、バイヤーとの接点をつくり、受注を獲得し、そして継続的に販路を広げていく。そのための知識と経験を、日本企業の中に蓄積していただくことを大切にしています。
現在のプログラムは、継続的な伴走支援を行う仕組みで、2024年度に開始した第1期の参加企業は、2026年6月にプログラムを修了しました。Faireでの継続的な売上に加え、プログラム期間を通じて、各社が米国市場での次のステップを見据えた動きを始めています。
それら企業の中には、Faireを軸とした販促の継続や小売店の開拓、ポップアップイベントや現地パートナーとの関係構築に加え、SHOPPE OBJECTへの単独出展や米国法人設立を目指す企業もあります。また、OEMやノベルティ卸、クラウドファンディングなど、新たなビジネスモデルへの挑戦も進んでいます。
展示会への出展を起点に、価格設定や現地でのアプローチ方法など、実践的なアドバイスを受けることで、FaireでのつながりがSHOPPE OBJECT出展につながった企業や、日本からの輸出を自力で行えるようになり、それが他国展開への自信に繋がった企業もあります。
展示会の参加や米国市場に挑戦してみたいとお考えの企業の皆様がおられましたら、是非、JETRO New Yorkの米国マーケットエントリー支援プログラムをはじめとして、長年にわたり日本企業の米国進出をサポートさせていただいているArtisにご相談ください。
※本記事で紹介した米国マーケットエントリー支援プログラムは、JETRO New Yorkが実施し、JETRO本部との連携のもと運営されている事業です。
Artisでは、アメリカ市場における深い知見をもとに、日本企業の市場参入・成長に向けた戦略構築から施策実行まで、パートナーとして伴走させていただいております。