先月末の発表では、アマゾン(オンライン事業だけではなく、アマゾン全体)は2015年以来の初めて四半期損失を報告しました。パンデミック期間中は絶好調だったアマゾンのEコマースですが、それがひと段落し、最近のインフレに伴う消費者の替え控えが要因と言われています。また、電気自動車のスタートアップへの投資がうまくいっていないことももう一つの理由のようです。具体的な数字を見てみると、今年の最初の3か月で38億4,000万ドルの損失を報告しています。 1年前の第1四半期の利益が81億ドルだったことと比べると、雲泥の差です。

Amazon eコマースサイトの現状

一般的に、オンラインショッピング自体が減速していて、その影響は広範囲にわたっているようです。マスターカードの発表によると、店舗での売り上げは増加してきている一方で、今年の3月は、パンデミック以降初めてオンラインショッピングが減少した月のようです。そして、Amazonのeコマース事業も不調で、北米で15.7億ドル、海外で12億8000万ドルの営業損失を報告しています。

消費者動向だけでなく、他のどの企業も苦労している通り、アマゾンもインフレとサプライチェーン問題に直面しています。労働力不足と倉庫のスペース不足は解決できているようですが、輸送量の大幅アップなど、まだまだ様々な圧力に直面しているようです。今年の4月1日は、全米で初めて、ニューヨーク近郊のアマゾン倉庫で労働組合が結成されました。この流れは全米で広がっていく可能性が高く、アマゾンにとっては様々なコストアップを意味しています。実際に、インフレ関連のコストは、前年比で約20億ドルアップ、生産性の損失やそのほかの費用も40億ドル発生しているそうです。

アマゾンセラーにとっては?

これらのコストを相殺するためにも、アマゾンは様々なコストを見直しています。具体的には、セラーへのフルフィルメントサービスを5%アップ。長く置いてある在庫は、処分される可能性もあります。更に、アマゾン倉庫に商品を送る際は、今まではアマゾン持ちでしたが、今後はセラー負担です。じわじわとセラーへの負担範囲が広がってきそうです。単価が高い商品を販売しているセラーにとっては、まだ吸収できるコストかもしれませんが、薄利多売のセラーにとっては、一気に赤字転換にする危険性あり、です。一部のセラーは、アマゾン離れが始まる可能性も考えられます。

アマゾンの今後の動き

アマゾンは実店舗の展開も積極的でしたが、全てのブックストアー、4スターショップ、ポップアップストアーをいったん閉鎖すると発表しています。今一度今後の展開を見直すようです。アマゾンサイドで様々なコストの大幅見直しが始まっていることが分かります。アマゾンセラーにとっては、今後の費用アップの動きに敏感に対応をしていくことが必須です。

Keiko Matsuura
Keiko Matsuura Vice President