「倉庫型店舗でまとめ買い」の代名詞だったCostcoが、デジタル販売でも成長を続けています。2026年度のデジタル経由の売上は330億ドルを超え、40歳未満の会員はコロナ前から60%以上増加。さらに、決算では家庭用品や家庭用の家具などの食品ではないカテゴリーも好調です。
2026年度の決算から見えてくるのは、単なるECの拡大ではありません。実店舗を軸にしながら、即日配送、若い世代の獲得、幅広い商品カテゴリーを組み合わせ、会員との接点を増やす戦略です。
デジタル売上330億ドル超、コストコ(Costco)で何が起きているのか
Costcoは2026年9月24日、2026年度(2026年8月30日終了)の決算を発表しました。通期の純売上高は2,972億ドルで、前年比10.1%増。デジタル経由の売上も年間330億ドルを超え、20%を超える成長を記録しました。
Costcoのデジタル販売は、自社サイトやアプリだけで完結するものではありません。Instacartに加え、DoorDashやUber Eatsといった外部デリバリープラットフォームを活用し、会員が日常的に使うアプリからも商品を購入できる仕組みを広げています。

もう一つの注目点は、会員層の若返りです。ロン・ヴァクリスCEOによると、40歳未満の会員はコロナ前から60%以上増加し、全会員の4分の1超を占めるようになりました。
さらに、9月25日付の小売業界メディアHomePage Newsは、2026年度第4四半期の好調を支えたカテゴリーとして、家庭用の家具、家庭用品、小型家電などを挙げています。Costcoの成長は、食品や日用品のまとめ買いだけでなく、住まいや暮らしに関わる商品の販売にも広がっています。
コストコ(Costco)の成長を支える4つの変化
1. 配送が生み出す、新たな購買機会
Costcoは、外部の配送システムを実店舗の代替としてではなく、会員との接点を増やす手段として活用しています。
週末には店舗でまとめ買いをし、平日は不足した食品や日用品をアプリで注文する。こうした使い分けが定着すれば、来店と来店の間にも購買が発生します。
Costcoの強みは、実店舗を縮小してデジタルへ移行することではなく、既存の店舗網を維持しながら、オンラインの利便性を加えられる点にあります。
2. 外部プラットフォームで広げる顧客接点
Costcoは、Instacart、DoorDash、Uber Eatsなど、米国の消費者がすでに利用しているプラットフォームを活用しています。自社だけで配送網や顧客接点を構築するのではなく、既存の仕組みを利用して利便性を高める戦略です。
一方、Costcoの会員制は維持されています。デジタル経由で商品を購入する場合でも会員資格の確認が必要となる仕組みで、販売機会を広げながら、会員を中心としたビジネスモデルの基本を守っています。
3. 若い会員の獲得が、将来の成長を支える
40歳未満の会員がコロナ前から60%以上増えたことは、Costcoが次世代の顧客を獲得していることを示しています。
若い会員は、入会当初から必ずしも大きな金額を使うとは限りません。しかし、生活環境や家族構成の変化に伴って購買額が増える可能性があります。即日配送などの利便性を通じて若い世代との接点を持つことは、長期的な顧客関係を育てるうえでも重要です。
4. 食品意外にも広がる成長
Costcoの成長を食品や日用品の売上だけで見ると、他のカテゴリーで生まれている販売機会を見落としかねません。
2026年度第4四半期には、家具、家庭用品、小型家電といった非食品カテゴリーも好調に推移しました。また、関税還付の一部を価格の引き下げに充てたことで、会員にとってのお得感も高まっています。
ただし、これらのカテゴリーの成長が、デジタル販売の拡大によって直接もたらされたと断定することはできません。今回の決算から読み取れるのは、デジタルと実店舗の双方が伸びるなか、食品以外にも販売機会が広がっている点です。
米国市場を目指す日本企業へのヒント
コストコ(Costco)の2026年度決算から見えてくるのは、実店舗を基盤としながら、デジタル販売、即日配送、若い会員の獲得、商品カテゴリーの拡充を組み合わせる小売戦略です。
年間330億ドルを超えるデジタル売上に加え、家庭用家具や家庭用品などの非食品カテゴリーも好調でした。これらは、Costcoが従来のまとめ買い需要を維持しながら、日常のさまざまな購買機会を取り込んでいることを示しています。
アメリカ市場への進出を目指す日本企業にとっても、重要なのは「どの小売店に商品を置くか」だけではありません。どのカテゴリーで、どのような購買シーンに応え、実店舗とデジタルの双方で消費者に見つけてもらうか。その視点が、米国市場での販路開拓と成長戦略を考えるうえで、ますます重要になっています。
Artisでは、アメリカ市場における深い知見をもとに、日本企業の市場参入・成長に向けた戦略構築から施策実行まで、パートナーとして伴走させていただいております。